陰蝕の鬼 - 参拾七 -



◇ ◇ ◇


以来、恭一郎が乱丸、正之助、真砂をよくよく注視してみると、
それは恭一郎が考えていたほど単純なものではないらしいことに気付いた。

まず、乱丸が真砂を猫可愛がりに可愛がる様は、ある種、異様であった。
何においても真砂が優先、他の事は二の次、三の次で、
それは正之助に対してもそうだった。
乱丸と正之助は、兄分、弟分の関係。
乱丸は正之助の念者であったが、乱丸の正之助に対する扱いは、
真砂のそれと比べても、些かぞんざいだった。


呼び方一つとっても、本来、念者と弟分の間においては、
念者は弟分に対して敬称を用い、礼を持って接するのが慣わし。
だが、乱丸の正之助を呼ばうのは、
『正之助、やい、正の字』 と、呼び捨てである。
二人の時が、そうだというのは、構わない。
しかし、乱丸の場合は人前でもそんな具合だった。


だが、そもそも衆道における念者とは、傅き乞う者。
若衆の、限りある短き恩恵にあずかるための僕であらねばならない。
それも乱丸が場合は、誰もが一目見れば、羨むうほどの功徳の高き相手なのだ。

呼び捨てということでは、真砂も他の者も、みな平等に呼び捨てであるが、
こと真砂にいたっては、扱いがまるで違う。


開演前、遠く離れた円座に真砂が行かねばならぬとなると、
足を汚さないためを理由に、乱丸が真砂を抱えて土間を渡る。
その円座に上るのは、真砂も正之助も同じこと。
だがそれを横目に正之助が、手ぬぐい片手に自らの着物の裾を絡げて
後を追うような始末である。
傍目に見れば、乱丸と真砂の間こそ、念者と弟分のそれであり、
乱丸の正之助の扱いとなると、まるで古女房。
正之助が乱丸の周りで、せっせと世話を焼き、
乱丸がそれを当然のごとく顎で使うような有様だった。


「あれは子供の頃からの馴染みでっさかい、
 その気分が抜けしまへんのや」


老人はそう言って、笑っていたが、恭一郎はそういう場に遭遇する度に、
正之助に同情を寄せずには居られなかった。






120301_01s.jpg

手前が乱丸、奥が正之助のイメージww
5年前の絵に、先日色つけたという、離れ業wwをやってみたww
目次のアイキャッチ画像も2人の顔アップなので良かったら見てみてください!


  閲覧ありがとうございました!
    誠に勝手ながら、しばらくお休みいたします。
   次回更新は、未定です。

うまい言い回しが思い当たらないので、ざっくり言うと、ちょっくら入院することになりましたww
持病だから慣れたもんなんだけど、二週間くらい(予定)になると思う。多少伸び縮みするかも・・・?
ここまで辛抱強くお読み下さった方には、大変大変申し訳ない思いでいっぱいです。
ここまででお話は丁度、中間地点(のこり半分?全体がここまでの倍??)と言ったところです。
必ず不死身になって戻ってきて完結させますので、またお気が向かれましたら、覗いてやってくださいませww
皆様もお体にはお気をつけてお過ごし下さい!
取り急ぎ、連絡まで。
またお目にかかれることを願って!See you soon!ciao!
                            2017.06.14 

  

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